S3 EP15を話した後に、伊坂さんの最新作『ペッパーズ・ゴースト』を読みました。10月に刊行されたやつ。これまた曲名っぽいなと思ったけども違った。曲名じゃなかった。

出版社のコメントに「作家生活20年超の集大成!」とあったので、どうかなと読み出したけど、ほんとにそんな感じだった。いろんな作品のいろんな要素を思い出す。いや、面白かった。

この中で、ニーチの「ツァラトゥストラ」がたびたび引用されている。『ツァラトゥストラはかく語りき』というのはタイトルは聞いたことあるけども読んだことはない。ニーチェの作品自体、読んでないかも。ニーチェ先生はむちゃくちゃ好きだったけども。まあ、別物なんだけど。

そんで、ツァラトゥストラの「永遠回帰」の話が度々出てきて、登場人物の行動の動機になってたりする。永劫回帰とも言うのかな。

人生は死んだら終わるとか、死んだらどこかに行けるとか、生まれ変わるとか、そういうのではなく、同じ人生を永遠に繰り返すのだ。みたいな解釈なのかな。「ツァラトゥストラ」読んでないし、登場人物の解釈が合っているとも限らないので実際はちょっと違う気もしつつも、面白い解釈。

運命は決定づけられて自由意志がないというのを一歩踏み込み、小説の登場人物のようなもので、メタ視点で見ている読者がいてなるようにしかならない。先は全て決定づけられてページをめくれば書いてある。ページを戻ればまた繰り返す。これはS3 EP7のテネット回で話した時間の捉え方と似ている気がする。ちゃんと話したっけ?

時間は連続していない。点と点で隣り合わせてはいるけど、一方通行で流れているわけじゃない。未来と過去はあるが同時に存在している。そんな感覚があったんだけど、そうか小説の登場人物の感覚は近いのかも。未来と過去は小説として、物語として書かれているけど、全てのページは同時に存在している。パッと開いたページがあるだけだ。なるほど、自分も登場人物なのかも。高次元の存在から見たら、小説みたいに見えるのかもな。時間の移動も、ページをめくるだけだ。面白いなー。

そんな人生は終わることなく永遠と繰り返される。そんな「永遠回帰」。皆さんは恐怖を感じます?どう感じるんだろう。ペッパーズ・ゴーストの登場人物の反応は、自分とは違うものだった。永遠に繰り返されると聞いて、なんか納得できるものがあった。

そもそも自分が小説の登場人物と聞いたらどう思うだろう。自分が作り物なんて、そんなの嫌だと思うだろうか。実際はそうでも自分が気付いていなかったら、嫌だというのも意味がないように思える。ふーん、そうだったのか。そんな気もしてくる。

「ツァラトゥスト」読んでみよう。